2012年03月27日

開示会計を学ぶ:<演習問題編>第12回「会計帳簿から3つの法定開示書類の作成の流れの演習」


☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
         ■ 公認会計士 児玉厚 ■
          ブログ〜開示会計を学ぶ〜
             【演習問題】
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


平成24年3月26日(月曜日)


● 今週の「開示川柳」へのプロローグ


 3月決算直前に入った。

 もうじき花見の季節になる。

 でも、経理の方も監査法人の会計士も蚊帳の外である。

 監査法人のリストラが進み、会計士試験合格者が就職出来ない時代が
続いている。 残念ながら、「資格の時代の終焉」が近い。

 先日、監査法人の代表社員がこう話していた。

「監査報酬が下がる中、監査日数は増やさなければならない状況にあり、
監査法人経営はますます難しくなる。」

 経理の方も、数値に係る問題がみんな降りかかる。
また、監査対応に多くの時間が取られる。
でも、経理人員の増員は図られない。

 経理の方も監査法人の会計士も、本来のプロとしての業務からは程遠い
業務に忙殺されている矛盾を感じている。

 経理の現場、監査の現場から離れて久しいが、以下私見として
「今後のあるべき監査人と経理の方との関係」について考えて見たい。


続きは編集後記にて、、、

================================

● 今週の開示実務演習の考察
  : <演習問題編>第12回
「会計帳簿から3つの法定開示書類の作成の流れの演習」

参考文献:「有価証券報告書完全作成ガイド」(清文社)

● 今週の「開示川柳」
 
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● 今週の開示実務演習の考察
  <演習問題編>第12回
「会計帳簿から3つの法定開示書類の作成の流れの演習」

参考文献:「有価証券報告書完全作成ガイド」(清文社)


【作問目的】

1.有価証券報告書の売上高の金額は、一取引までブレイクダウンできなければ
  ならない。本来は、開示元帳があればその履歴が把握できる。
  今回の演習では、開示業務の「組替」「計算」「転記」「照合」の関係を
  「開示仕訳」を用いて学習する。

2.法定開示書類は、「会社法の事業報告、計算書類、各附属明細書並びに
  連結計算書類」、「決算短信」及び「有価証券報告書」の3つから構成される。

 「試算表」から「3つの個別開示書類」の作成、試算表から連結精算表を
 作成し、「3つの連結開示書類」の作成のプロセスを理解する。

3.試算表の数値が動いた時に、3つの法定開示書類の数値をどのように修正
 すべきかを理解する。


<初級編、中級編、上級編>
 下記よりダウンロードして下さい。

問題編
1.「問題編のURL」
http://yosankaikei.otoku21.info/12.03.26mondai.text12.kaijikaikei.pdf


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 「開示書類作成理論が世の中に存在していないこと」
 「公正な開示書類作成実務教育を一緒に創造していくこと」
 等より、
 問題や演習についての疑問点・誤りの指摘等のご助言については
 遠慮なくメールいただければ幸いです。
 また、開示実務に携わる皆様からの問題・解答の投稿も是非
 よろしくお願いします。


● 今週の「開示川柳」


 3月決算直前に入った。

 もうじき花見の季節になる。

 でも、経理の方も監査法人の会計士も蚊帳の外である。

 監査法人のリストラが進み、会計士試験合格者が就職出来ない時代が
続いている。 残念ながら、「資格の時代の終焉」が近い。

 先日、監査法人の代表社員がこう話していた。

「監査報酬が下がる中、監査日数は増やさなければならない状況にあり、
監査法人経営はますます難しくなる。」

 経理の方も、数値に係る問題がみんな降りかかる。
また、監査対応に多くの時間が取られる。
でも、経理人員の増員は図られない。

 経理の方も監査法人の会計士も、本来のプロとしての業務からは程遠い
業務に忙殺されている矛盾を感じている。

 経理の現場、監査の現場から離れて久しいが、以下私見として
「今後のあるべき監査人と経理の方との関係」について考えて見たい。

 新日本監査法人の創始者の一人である太田哲三先生は
常にこう言っていたそうだ。

 「監査はパーソナルだ!」

 今の監査は組織的監査で、審査部門が実質コントロールしている
状況であり、対照的だ。

 監査の質が高いか否かは、「誰が監査を行うか」にかかっている
というのが本質だろう。

 個人的には、クライアントの経理の方の評価をベースとした
監査を行う会計士の格付けを行ってゆくことがあっても良いのでは
ないかと思う。

 うちの監査法人には格付Aの会計士が何人いる。
 その会計士は高い報酬を得られる。
 
 監査報酬についてはいつも疑問に思う。

 「監査時間がかかればかかるほど、監査報酬が上がるというのは何故
 なのか?」「プロが監査すれば短い時間で質の高い監査ができるの
 ではないか。」「レベルが低い会計士が監査すればいたずらに長い
 時間がかかるのではないか。」

 上場会社の経理の方から何回か同じ話を聞いたことがある。

 「監査は毎年新人ばかり大勢来て、毎年同じ基本的な質問をしてくので、
 ホントに頭にくる。経理が監査法人の新人のトレーニング支援をして
 いる。この役務提供部分は監査報酬と相殺してほしい。・・・」

 この点については、会計教育そのものにも原因があるのではないか
と思う。

 例えば、簿記論で「3月10日、A商品を100千円で販売した。」という
 設問に対して、会計処理を求める。

 でも、こんな「文章」は実務には存在しない。

 例えば、下記の様な実践問題を解く訓練をするべきではないかと思う。

実践問題

「下記の証憑に基づき、会計処理を行いなさい。」

 @ 経理規程(売上計上基準)
 A 売買契約書
 B 出荷通知書
 C 納品書
 D 検収書
 E 請求書

 「基礎証憑は何で、そこからどう判断して会計処理するか」という
訓練がなされていない。

 監査人の能力として、「発見的能力」は重要だ。


 30年近く前だが、鉄鋼商社の経理に入った。

 初めて国税調査に立ち会った。特別調査官チームが来ていた。

 10畳近くの会議室に証憑が積み込まれたダンボールが並んだ。

児玉  :「会計伝票や元帳は用意しないんですか?」

経理課長:「調査官は経理の判断の入った会計記録は信用していないんだ。
      だから、原資証憑しか見ないんだ。」

 国税調査官は、証憑ファイルをもの凄い早いスピ−ドで閲覧し、問題の
箇所に付箋(ふせん)を貼ってゆく。

 その付箋(ふせん)の取引について、取引担当者呼んで、直接質問
する。経理部門からは一切聞かない。

 営業マンが緊張して、入って来る。
 国税調査官はニコッと笑って、雑談から始めて、こう切り出す。

「私、この分野、素人なのでよくわからないので、基本的な点教えて
いただけますか?・・・・」
 もちろん、実際にはプロで精通している。
 反面調査をすでに完了している場合もある。

 営業マンはついつい乗せられて、正直にしゃべってしまう。

 「この質問力って、凄いな。」と思った。

 もちろん国税調査と監査は目的が違うが、調査手続の本質は
同じだと思う。

 監査は英語で「Audit」だが、その語源は「聴く」という
点だ。

 監査人としてプロか否かは、この「質問力」によると思う。


 上場会社の若い経理の方とお会いすると、
ほんとうに高度な人格と実践的問題解決能力を持っている方が多く、
「本当に優秀だな。こういう人達がCFOになって行くんだろうな。」
と思う。

 もし、こういう経理の方が監査したら、「いい監査するだろうな?」
とも思う。

 上場会社の経理実務経験5年以上の方は、簡易試験で「会計士」になれる
ようになった方が良いのではないかと思う。

 監査法人の会計士と上場会社の経理の方の間のローテーション化が
進むと、共に成長し、より信頼できるパートナーシップが構築されて
行くのではないかと思う。


<今週の開示川柳>



「Audit 聞くからわかる 監査かな 」


【有価証券報告書作成演習の評価コメント例】


(例:会計コンサル会社の方のコメント)

@問題はポイントを絞った簡素なものなので解きやすかった。
A問題ごとに解説が付いているのが秀逸だと思った。
  類書がいくつかあるが、これらには十分な解説がないので。
B問題ごとに「私見」があり、これが分かりやすく参考になった。
Cそれぞれの問題のポイントを紙1枚にまとめたサマリがあればと
感じた。

(例:経理管理者の方のコメント)

特に感じたことは、学習の仕方として、理論を講義や本を読んで
学習するのではなく、繰り返し演習することで理解させていくと
いう方法をとられていることについては、非常に良い方法である
と感じました。
  実際、会社でもOJTが一番身に付く方法であることは明白ですし、
担当できない場合でもOJTに近い形で学習させるのが有効であると
思います。

(例:上場会社CFOの方のコメント)

「何とすごい(=実務に役立つ)練習問題だこと」



<メッセージ>
 自転車に乗れるようになるのに、
本を読んで乗れるようになった人はいないでしょう。
 反復の練習により、ある日乗れるようになったはずだと思います。
 開示業務も同じはないでしょうか。

 違う点は、開示業務は法令改正等で「自転車の型」がどんどん
変わって行く点です。

 開示書類は公表されるものなので、1箇所でも間違えることが
許されません。(訂正の防止)
 完全な理解を常に追及することが求められます。

 しかし、経理の方に本当に求められる能力は、経営者が期待する
「問題解決能力・判断力」でしょう。
従って、開示業務を他の経理スタッフへ移管し、進捗を管理する
ようになっていかなければなりません。

その為には、「共通理解のための教育基盤」が必須と考えます。

 皆さんと一緒に、新たな公正開示実務慣行を創って行ければ
と思っています。

下記の点、遠慮なくメールでご質問下さい。

 ・問題のご評価
 ・不明点
 ・改善すべき点
 ・問題のアイディア
 ・開示業務の悩み
 ・開示川柳のアイディア
 ・その他


【関連新刊書籍】

 予算キャッシュ・フロー計算書の作成過程を演習形式で解説した
新刊書籍出版予定(3月30日)。

「予算会計」(清文社)
著者  会計士・税理士 児玉 厚・海崎雅子
価額:2,400円(税抜)

「はじめに」抜粋
http://yosankaikei.otoku21.info/2012.3yosankaikei.hajimeni.seibunsya.pdf
       ↓
<上場会社のCFOからのコメント例>

お言葉で100%同感、心に刺さりました。
@ 経理に本当に求められるのは「問題解決能力・判断力」
A 経営者は「過去」ではなく、99%「将来」の方向を向いている。
 (中堅以降の「経理屋」さんは、「過去」の正確な記帳・処理
  だけの呪縛から、的確に「将来」を考える割合の多さが能力の差)
B 「経営者」「経理」「会計専門家」の「夢のトライアングル」



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                     公認会計士 児玉 厚


posted by 児玉厚 at 02:15 | Comment(0) | 法定開示書類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月20日

開示会計を学ぶ:<演習問題編>第11回「過年度遡及修正:過去の誤謬の訂正に伴う訂正報告書【演習問題11】」




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         ■ 公認会計士 児玉厚 ■
          メルマガ〜開示会計を学ぶ〜
             【演習問題】
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平成24年3月19日(月曜日)


● 今週の「開示川柳」へのプロローグ


 おはようございます。 児玉です。

 検証の為、第11回の配信が1日遅れましてことを深くお詫びいたします。

 「過年度遡及修正」はIFRSのコンバージェンスで導入されたものであり、
全く新しい開示実務であり、従前の日本の会計にはない実務である。

 特に、「過去の誤謬の訂正」については、上場会社の経理の方も会計士も
発生しないことを祈りながら、もし起きたらどうするかについて戦々恐々
となっていると聞いている。

 イメージすることが難しいので、簡易な例で一緒に考えて見よう。


続きは編集後記にて、、、

================================

● 今週の開示実務演習の考察
  :<演習問題編>第11回「過年度遡及修正
:過去の誤謬の訂正に伴う訂正報告書【演習問題11】

参考文献:「有価証券報告書完全作成ガイド」(清文社)

● 今週の「開示川柳」
 
================================

● 今週の開示実務演習の考察
  <演習問題編>第11回「過年度遡及修正
:過去の誤謬の訂正に伴う訂正報告書【演習問題11】

参考文献:「有価証券報告書完全作成ガイド」(清文社)

  

【作問目的】

1.過去の誤謬の訂正として遡及する対象事実の理解

2.過去の誤謬の訂正について「訂正報告書を提出する場合」と
  「当期損益処理する場合」の有価証券報告書の数値の違い
の理解

3.開示数値と会計帳簿の違いと解消過程の理解


<初級編、中級編、上級編>
 下記よりダウンロードして下さい。


問題編

1.「問題編のURL」
http://yosankaikei.otoku21.info/12.03.19mondai.text11.kaijikaikei.pdf



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 「開示書類作成理論が世の中に存在していないこと」
 「公正な開示書類作成実務教育を一緒に創造していくこと」
 等より、

 問題や演習についての疑問点・誤りの指摘等のご助言については
遠慮なくメールいただければ幸いです。

 また、開示実務に携わる皆様からの問題・解答の投稿も是非
よろしくお願いします。


● 今週の「開示川柳」

 「過年度遡及修正」はIFRSのコンバージェンスで導入されたものであり、
全く新しい開示実務であり、従前の日本の会計にはない実務である。

 特に、「過去の誤謬の訂正」については、上場会社の経理の方も会計士も
発生しないことを祈りながら、もし起きたらどうするかについて戦々恐々
となっているという。

 イメージすることが難しいので、簡易な例で一緒に考えて見よう。


<設例>(税金等は考慮外におく)

【前々期】 「売上高 (1) 800億円」  「当期純利益 (2) 8億円」

      監査報告書:「適正意見」

【前期】  「売上高 (3)1,000億円」  「当期純利益 (4) 10億円」

     監査報告書:「適正意見」

【当期(遡及修正前)】

  「売上高 (5)1,200億円」  「当期純利益 (6) 12億円」

当期の決算において、「過去の売上値引の計上漏れ」が発見された。
 
【前々期売上分の売上値引】(7) △1億円

 【前期売上分の売上値引】 (8) △2億円

      合計      (9) △3億円

1.過年度遡及修正導入以前の会計処理(重要性がないと判断した場合)

 (P/L:過年度損益修正損) (9) 3億円
           /(B/S:売掛金) (9) 3億円

当期純利益=(6)12億円−(9)3億円=(10)9億円

【前々期】 「売上高 (1) 800億円」  「当期純利益 (2) 8億円」

      監査報告書:「適正意見」

【前期】  「売上高 (3)1,000億円」  「当期純利益 (4) 10億円」

      監査報告書:「適正意見」

【当期(遡及修正前)】

  「売上高 (5)1,200億円」  「当期純利益 (10) 9億円」

売上高増減比率={(5)1,200億円−(3)1,000億円}÷(3)1,000億円×100%
        =「20.0%増」…(11)

当期純利益増減比率={(10)9億円−(4)10億円}÷(4)10億円×100%
        =「10.0%減」…(12)

      監査報告書:「適正意見」

でも、前期の売上高は(8)2億円過大計上されているので、前期の売上高を
(3)1,000億円−(8)2億円=(13)998億円

 あるべき売上高増減比率
  ={(5)1,200億円―(13)998億円}÷(13)998億円×100%
  =「20.2%増」…(14)

前期のあるべき当期純利益=(4)10億円−(8)2億円=8億円…(15)

当期のあるべき当期純利益=(10)9億円+(9)3億円=12億円…(16)

あるべき当期純利益増減比率
  ={(16)12億円−(5)8億円}÷(5)8億円×100%
  =「50.0%増」…(17)


2.過年度遡及修正を行う場合(財務諸表規則)


【前々期】 「売上高 (1) 800億円」  「当期純利益 (2) 8億円」
      監査報告書:「適正意見」

【前期】  「売上高 (3)1,000億円」  「当期純利益 (4) 10億円」
      監査報告書:「適正意見」

【当期(遡及修正前)】

   比較前期「P/L:売上高 (13)998億円」  「P/L:当期純利益 (15) 8億円」
       「S/S:過去の誤謬の訂正に伴う累積的影響額 (18)△1億円」

     当期「売上高 (5)1,200億円」  「当期純利益 (16) 12億円」

        売上高増減比率 =「(14) 20.2%増」

        当期純利益増減比率=「(17) 50.0%増」

 有価証券報告書は2期比較なので、遡及修正対象は比較前期となる。
 すでに提出している前々期の有価証券報告書と前期の有価証券報告書を
直接訂正するものではない。


将来の合理的な予測に資する為には、遡及修正して修正再表示すべきだが、
多くの開示業務負担が発生するので、「重要性判断」が問題となる。

 「重要性がない場合」とは「遡及修正した場合」と「遡及修正しない
場合=当期の損益処理とする場合」で投資家の経済的意思決定に影響
がない場合をいう。

 「数値基準(例:税引前当期純利益の1%など)」と「質的基準」より
総合的に判断することになる。


 上記の修正再表示と訂正報告書の関係が議論されてきた。

平成23年7月に「監査基準委員会第63号」が公表された。

その「過年度の比較情報―対応数値と比較財務諸表」常務理事 前書 で
下記の表現がなされている。

「…なお、会計基準上、過去の財務諸表に重要な誤謬があった場合には、
修正再表示を行うことになっております。
一方、金融商品取引法上、重要な事項の変更等を発見した場合、
訂正報告書の提出が求められていることから、一般的には過去の誤謬を
比較情報として示される前期数値を修正再表示することにより解消する
ことはできないと考えます。
 従って、本報告書における過去の誤謬の修正再表示に関する要求事項
等については、金融商品取引法の監査においては、通常は適用されない
ことにご留意下さい。」

 重要性がある場合には、過去に遡って訂正報告書を出すということを
意味している。

 「重要性がない場合」とは「訂正報告書を出す場合」と「当期の損益
処理をする場合」で投資家の経済的意思決定に影響がない場合をいう
ことになる。


3.過年の誤謬について、訂正報告書を出す場合

【前々期】 「訂正報告書」を提出する。

 「売上高(前々々期:(19)700億円) (1)800億円→(20)799億円」

 「当期純利益(前々々期:(21)5億円) (2)  8億円→(22) 7億円」

売上高増減比率

(訂正前):{(1)800億円-(19)700億円}÷(19)700億円×100%
      =「(23) 14.3%増」

(訂正報告書提出後)↓
    :{(20)799億円-(19) 700億円}÷(19) 700億円×100%
      =「(24) 14.1%増」

当期純利益増減比率

(訂正前):{(2)8億円-(21)5億円}÷(21)5億円×100%
      =「(25) 60.0%増」

(訂正報告書提出後)↓
     :{(22)7億円-(21)5億円}÷(21)5億円×100%
      =「(26) 40.0%増」

      監査報告書:監査上の重要性がある場合、意見差替


【前期】 「訂正報告書」を提出する。

 「売上高   :(3)1,000億円→(13)998億円」
 
「当期純利益 :(4)  10億円→(15) 8億円」

売上高増減比率
 (訂正前):{(3)1,000億円-(1)800億円}÷(1)800億円×100%
      =「(27) 25.0%増」

(訂正報告書提出後)↓
     :{(13)998億円-(20) 799億円}÷(20) 799億円×100%
      =「(28) 24.9%増」

当期純利益増減比率

 (訂正前):{(4)10億円-(2)8億円}÷(2)8億円×100%
      =「(29) 25.0%増」

(訂正報告書提出後)↓
     :{(15)8億円-(22)7億円}÷(22)7億円×100%
      =「(30) 14.3%増」

      監査報告書:監査上の重要性がある場合、意見差替


【当期(過去の事業年度について訂正報告書を出した場合)】

 比較前期は、前期の訂正報告書数値を繰り越す。

 「売上高   :(5)1,200億円」

 「当期純利益 :(4)  10億円→(15) 8億円」

 売上高増減比率

  (訂正前):{(5)1,200億円-(3)1,000億円}÷(3)1,000億円×100% 
       =「(11) 20.0%増」

  (訂正報告書提出後)↓
      :{(5)1,200億円-(13) 998億円}÷(13) 998億円×100%
       =「(14) 20.2%増」

 当期純利益増減比率

  (訂正前):{(10)9億円-(4)10億円}÷(4)10億円×100%
       =「(12) 10.0%減」

  (訂正報告書提出後)↓
      :{(16)12億円-(15)8億円}÷(15)8億円×100%
       =「(17) 50.0%増」

 前々期の有価証券報告書と前期の有価証券報告書について、訂正報告書を
提出し、当期の有価証券報告書と前期データは訂正報告書の前期データが
繰り越される。

 この過程を演習形式にしものが、今回の第11回の演習である。

 経理部門の開示業務も監査法人作業も膨大な作業になる。

 作業量としては、

 「訂正報告書の作業」>「過年度遡及修正(修正再表示)」となる。

 開示業務の負担増によるコスト上昇は、投資者保護に反すると思う。

 何故、負担増の方に舵を切るのだろうか。

 また、遡及修正による比較前期の修正再表示の場合は、前々期と
前期の有価証券報告書は正しい。比較可能性のために、当期の
比較前期を遡及修正することになる。

 一方訂正報告を出す場合は、前々期と前期の有価証券報告書は
正しくなかったことになる。でも、前々期と前期の定時株主総会は
終わっているし、決算はすでに確定している。

 会計人としての経理の方および監査する会計士の責任が問われ
かねない。

 今は、特別損益で前期損益修正損益科目を使用できず、経常損益
の部の中の科目に含まれて表示されている。

 投資家に対する開示は実質上後退している。

 投資者保護の観点からすれば、「期間比較可能性」と「重要性」も
ともに大切であり、合理的にバランスを取る必要性があると考える。

 私見ですが、重要性がないと判断する場合であっても、ある投資家に
とっては影響があるかも知れないので、下記のような「追加情報」の
注記を付すことが望ましいのではないかと思う。

 例<あくまで私見>

【追加情報】注記

「当事業年度において、下記の過去の誤謬が発見されました。
当社所定の重要性基準により、当期の損益として処理しております。

 前々期 売上値引計上漏れ (7) 100百万円
 前期  売上値引計上漏れ (8) 200百万円」

 いずれにしても、過去の誤謬の訂正に関する合理的な開示実務のルールを
早期に確立することが重要と考える。



<今週の開示川柳>


「過去誤謬 判断できぬ 重要性」

<メッセージ>

 自転車に乗れるようになるのに、
本を読んで乗れるようになった人はいないでしょう。
 反復の練習により、ある日乗れるようになったはずだと思います。
 開示業務も同じはないでしょうか。

 違う点は、開示業務は法令改正等で「自転車の型」がどんどん
変わって行く点です。

 開示書類は公表されるものなので、1箇所でも間違えることが
許されません。(訂正の防止)
 完全な理解を常に追及することが求められます。

 しかし、経理の方に本当に求められる能力は、経営者が期待する
「問題解決能力・判断力」でしょう。
従って、開示業務を他の経理スタッフへ移管し、進捗を管理する
ようになっていかなければなりません。

その為には、「共通理解のための教育基盤」が必須と考えます。

 皆さんと一緒に、新たな公正開示実務慣行を創って行ければ
と思っています。

下記の点、遠慮なくメールでご質問下さい。

 ・問題のご評価
 ・不明点
 ・改善すべき点
 ・問題のアイディア
 ・開示業務の悩み
 ・開示川柳のアイディア
 ・その他


【関連新刊書籍】


予算キャッシュ・フロー計算書の作成過程を演習形式で解説した
新刊書籍出版予定(3月30日)。


「予算会計」(清文社)

著者  会計士・税理士 児玉 厚・海崎雅子
価額:2,400円(税抜)

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2012年03月12日

開示会計を学ぶ:<演習問題編>第10回「過年度遡及修正:会計方針の変更(その3)【演習問題10】」


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         ■ 公認会計士 児玉厚 ■
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             【演習問題】
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平成24年3月12日(月曜日)


● 今週の「開示川柳」へのプロローグ



 遡及修正の問題を作成しながら思うことは、
経理の仕事は、「仕訳に始まり、仕訳に終わる」ということだ。

 30年前に、鉄鋼商社の経理に入った。

 最初に見た振替伝票は、「(仕入高)××/(売掛金)××」だった。

 全く意味がわからなかった。


 続きは編集後記にて、、、

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● 今週の開示実務演習の考察
  :第10回「過年度遡及修正:会計方針の変更(その3)【演習問題10】」
参考文献:「有価証券報告書完全作成ガイド」(清文社)

● 今週の「開示川柳」
 
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● 今週の開示実務演習の考察
  第10回「過年度遡及修正:会計方針の変更(その3)【演習問題10】」
参考文献:「有価証券報告書完全作成ガイド」(清文社)



  

 今回を含めて3回、「会計方針の変更」の演習問題を作成した。

今回は、売上高の計上基準を出荷基準から検収基準に変更し、対応する
売上原価および税効果会計の適用も含めた演習となっている。

 遡及修正の仕訳の意味を理解することが大切だ。

 会計方針の変更に伴う遡及修正に伴い、過去の財務諸表の数値および
当期の財務諸表数値が変わる。

 ただ、唯一変わらない財務諸表がある。

当期の貸借対照表である。

 当期末現在では、「会計帳簿数値=税務上の数値=開示数値」の関係が
成立する。

 過年度遡及修正に関する主要科目や税効果科目は決算日現在では
すべて精算されることになる。


<初級編、中級編、上級編>
 下記よりダウンロードして下さい。

問題編
1.「問題編のURL」
http://yosankaikei.otoku21.info/12.03.12mondai.text10.kaijikaikei.pdf



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● 今週の「開示川柳」


 遡及修正の問題を作成しながら思うことは、
経理の仕事は、「仕訳に始まり、仕訳に終わる」ということだ。

 30年前に、鉄鋼商社の経理に入った。

 最初に見た振替伝票は、「(仕入高)××/(売掛金)××」だった。

 全く意味がわからなかった。

 営業現場に行き、仕訳の意味を尋ねると、
 建設機械を割賦で販売した先の資金回収遅延の為に、収めた商品を
回収し、別の相手先へ再販売するという。
 もちろん、その時点の商品評価は問題となった。
 営業担当の先輩は、その取引の経緯を丁寧に教えてくれた。

 「なるほど。仕訳伝票の裏側には、生きたドラマがあるんだな」
と感じた。

 私は毎月400枚程度の振替伝票をもって、各営業現場の先輩に
取引の内容を聞いていった。二度と同じ同じ質問はできないので
取引ノートを毎日作成した。

 経理の人間が営業現場に聞いて回るというのが珍しかったのか、
かわいがってもらい、よく飲みについれていってもらった。

 また、だんだん経理に事前の質問がくる様になる。

 「児玉。今度こういう取引をするんだけど、税務上なんか
問題になる点ある?」

 取引をした後では、変えられないが、取引の前であれば
税務上のリスクなどを合理的に軽減することはできるので
営業の方から感謝された。

 経理と営業が信頼関係を深く結ぶイベントとして、
国税調査があった。この点は完全に利害が一致するので、
国税調査対応がうまく乗り切れると、共に喜び、運命
共同体のような実感があった。

 経理は、社内営業をし、「事前相談」を受けられる社内人脈の
構築を図ることが非常に重要だと思った。


<今週の開示川柳>


  「経理家や 足で回って 実を知る」

<メッセージ>


 自転車に乗れるようになるのに、
本を読んで乗れるようになった人はいないでしょう。
 反復の練習により、ある日乗れるようになったはずだと思います。
 開示業務も同じはないでしょうか。

 違う点は、開示業務は法令改正等で「自転車の型」がどんどん
変わって行く点です。

 開示書類は公表されるものなので、1箇所でも間違えることが
許されません。(訂正の防止)
 完全な理解を常に追及することが求められます。

 しかし、経理の方に本当に求められる能力は、経営者が期待する
「問題解決能力・判断力」でしょう。
従って、開示業務を他の経理スタッフへ移管し、進捗を管理する
ようになっていかなければなりません。

その為には、「共通理解のための教育基盤」が必須と考えます。

 皆さんと一緒に、新たな公正開示実務慣行を創って行ければ
と思っています。

下記の点、遠慮なくメールでご質問下さい。

 ・問題のご評価
 ・不明点
 ・改善すべき点
 ・問題のアイディア
 ・開示業務の悩み
 ・開示川柳のアイディア
 ・その他



                     公認会計士 児玉 厚


posted by 児玉厚 at 04:06 | Comment(1) | 過年度遡及修正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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