2012年01月31日

開示会計メルマガ:第4回「タスク1:個別財務諸表→【演習問題4】」

● 今週の開示実務演習の考察
  :第4回「財務諸表→財務諸表から開示書類へ」


テーマ:会社法と決算短信と有価証券報告書の個別財務諸表関係の理解

ポイント1:
修正後残高試算表の繰越利益剰余金には当期純利益が含まれていないので、貸借対照表の繰越利益剰余金の金額とは異なる。

ポイント2:
修正後残高試算表は貸借対照表と損益計算書を作成するものなので、株主資本等変動計算書の科目の総勘定元帳はない。純資産の部の総勘定元帳を(例:繰越利益剰余金)の内容を分解して作成する。

ポイント3:
財務諸表間の繋がりを理解する。

問題は下記のURLよりダウンロードして下さい。
初級、中級、上級編に分かれています。
http://yosankaikei.otoku21.info/12.01.30mondai.text4.kaijikaikei.pdf

解答・解説は、メルマガにて配信しております。
ご質問・ご意見も受け賜わっております。

● 今週の「開示川柳」

 時価主義は本当に正しいのでしょうか?

 例えば、現金 100円で有価証券を1株購入すると、
会計処理は下記の通りになります。

(借方)(有価証券)100円/(貸方)(現金)100円

 払ったお金で有価証券の金額を測定する考えのことを
「取得原価主義」といいます。

従前の日本の会計基準は、「過去の事実を記録する」という考えでした。

 今は、国際会計基準との整合性の観点より、「時価主義」が
導入されています。

例えば、決算日に時価が150円になったとすると、含み益は、
 150円―100円=50円となります。

もし、この時価で売却した時の税金は、50円×税率40%(仮定)
=20円となります。税引後の含み益は、50円−20円=30円と
なります。

決算日に下記の会計処理を行うことになります。

(借方)(有価証券)?50円/(貸方)(繰延税金負債)       20円
             /(貸方)(その他有価証券評価差額金) 30円

 貸借対照表の資産の部の「有価証券」の金額は、100円+50円=150円と
なります。
 貸借対照表の負債の部の「繰延税金負債」は、20円になり、純資産の部の「その他有価証券評価差額金」は、30円になります。

 伝統的な日本基準の貸借対照表は、「過去の記録」でしたが、今の貸借対照表は、
「将来売ったらいくらになるかという時価」、つまり「予測」概念が色濃くなって
います。

 でも、「この時価は本当に客観性があるのでしょうか?」。

 21年ほど前、私は監査をしていましたが、ある会社が「有価証券を担保にして
お金を貸すという事業(証券担保金融)」を行っていました。
株価が上がっている局面では、株価が上がり、融資枠が上がるので、追加で
お金を貸し、そのお金で株式を買うので、さらに株価は上がって行くという
「上昇スパイラル」になりました。

いわゆるバブルです。

ある日、バブルが崩壊し、株価が下がると、担保価値が下がり、
返済を迫られるので、株式を売却し、さらに株価が下がって行くという逆の
「下落スパイラル」になりました。

つまり、時価は、株式の発行会社の財務状況が変わらなくても、
「株式の需給バランス」によって乱高下する訳です。

 本来、経済学でいう「時価」は、「無限の数の購入者」と「無限の数の売却者」
が存在する「完全競争」が成立している場合の「価格」を言います。

つまり、「株式の需給バランス」に影響を受けない価格なのです。

 例えば、ある会社の発行済株式が1,000,000株で、証券取引所の決算日の
売買高が1株しかなく、その取引時価が150円だったとしましょう。

残りの999,999株を持つ株主が会社だとすると、この150円で有価証券を
決算日に時価評価します。もし、当該株式の発行会社の財務状況に変化がなくても、
みんなが株式を売却しようとすると、「供給(売却)>需要(購入)」となり、
株価は暴落し、例えば、50円でしか売れなくなります。

決算日の時価評価が正当化される前提は、株式の完全競争が成立している
ことですが、ほとんどその様な状況にないということが実態ではないでしょうか。

 もちろん、過去に払った金額で有価証券の金額を評価し続けることは問題ですが、
「時価そのものも大きなリスクを抱えている」ことを忘れてはならないと思います。

 この時価主義により、経営責任を問われない様に、会社が上場会社の株式を
保有しなくなってきており、「供給(売却)>需要(購入)」となり、長期的な
証券市場の低迷を生んでいることは何か皮肉な気がします。

 時価主義が登場した時、私の中で「純粋な会計や監査への思いや哲学や
信念や情熱が無残に崩壊した」苦い思い出があります。

<今週の開示川柳>
「時価主義や 投資マインド 冷えるだけ」


posted by 児玉厚 at 21:44 | Comment(0) | 個別財務諸表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月25日

【問題編】開示会計メルマガ:第3回「タスク1:個別財務諸表→【演習問題3】」

● 今週の開示実務演習の考察
  :第3回「個別財務諸表→【演習問題3】」
  ※参考「有価証券完全作成ガイド」(清文社)P17〜78

初級編・中級編・上級編の問題は下記のURLよりダウンロードして下さい。
http://yosankaikei.otoku21.info/12.01.23mondai.text3.kaijikaikei.pdf

解答・解説は、メルマガにて配信しております。
ご質問・ご意見も受け賜わっております。


● 今週の「開示川柳」


平成23年12月2日に法人税法が改正され、法人税率が
30%から25.5%へ引き下げられた。

また、復興税として基準法人税額の10%(3年間)が
新設されました。

 税務上の加算留保額×法定実効税率=繰延税金資産なので、
 次年度以降の繰延税金資産については、結果として
過大計上になるので、戻入が発生することになる。

 (修正仕訳)

 (P/L:法人税等調整額)XX/(B/S:繰延税金資産)XX

 繰延税金資産を多額に計上している会社においては、
3月決算の業績に大きなインパクトがあるかもしれない。

 変な話だが、税効果会計は私にとっては少なからず因縁がある。

「監査の道を進む」ことを断念した一因でもあった。


2000年3月に「税効果会計」が導入された。

日本はすでにデフレの時代に入っていた。

「何故、デフレの時代に、インフレを前提とする
税効果会計が制度導入されるのか?」が疑問だった。

当時、会社法の前身の商法は非常に厳しい配当規制を
引いていた。

私は当然資産性の乏しい繰延税金資産に対して
商法上の配当規制がかかると思っていた。

ところが、商法上は全く配当規制がかからなかった。

唖然とした。

「制度会計も哲学を失ったな。」と感じた。

純粋に会計や監査の理想を追求する心は見事に打ち砕かれた。

繰延税金資産の回収可能性の検討はあくまでも予測だ。

「回収可能性がある」と判断していたが、後で実は回収可能性が
なかったというケースは山ほどあるはずだ。

 先日ある銀行の方がこんなことを言っていた。

 「不動産賃貸の空室率が悪化していて、貸付先のリスケ
(返済困難で返済条件の変更をすること)が相次いでい
でいるんです。・・・」

水面下で潜在的不良債権先が拡大している。

繰延税金資産が粉飾決算の手段として悪用されない
ことを切に祈りたい。



<今週の開示川柳>

「税効果 資産性には 疑問あり」 


最後までお読みいただきありがとうございました。 


posted by 児玉厚 at 19:41 | Comment(0) | 個別財務諸表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月16日

【問題編】開示会計メルマガ:第2回「タスク1:個別財務諸表→【演習問題2】」

● 今週の開示実務演習の考察
  :第2回「個別財務諸表→【演習問題2】」
  ※参考「有価証券完全作成ガイド」(清文社)P17〜78


下記のURLより問題編をダウンロードして下さい。
問題は初級、中級、上級編に分かれています。
http://yosankaikei.otoku21.info/12.01.16mondai.text2.kaijikaikei.pdf

 解答・解説は、メルマガにて配信しております。
 ご質問・ご意見も受け賜わっております。


● 今週の「開示川柳」

 年が明け、3月の本決算も近い。

 昨年度3月決算の訂正分析を行った。

 「招集通知の訂正」が多いことに驚いた。

 3月上場会社100社。すべて数値に関する誤りだ。

 原因は、注記などの開示範囲が最も広い「有価証券報告書」
 が招集通知発送後に監査(金融商品取引法監査)されて、
 誤りが発見されることによる。

  株主総会で社長が「訂正のお詫び」をするというのは、
 社長からすれば屈辱的で、怒り心頭だろう。

 これが原因で、監査法人が替ったという話も聞いた。

 「決算の失敗」「監査の失敗」の烙印を押されることになる。

 これはあまりにも理不尽なことではないか。

 会社法監査過程で、有価証券報告書の経理の状況の注記を
含む数値を監査済にし、会社法の取締役会承認を経るべき
だろう。

 「開示業務の正確性と迅速性」を決算の中で実現して
行くことは難しくなっていると思う。

「開示業務の事前化」が重要ではないか。

 決算前に通常次期予算を策定しており、その
際に「実績予想」を出している。

 当該「実績予想」に基づいて、3つの法定開示書類
(計算書類等、決算短信及び有価証券報告書)を
シュミレーション事前作成し、開示の論点を整理する。

(1)文章関連の論点

(2)数値関係の論点

 (1)については、決算前に印刷会社の研究部等に
・・・事前確認する。

 (2)については、決算前に監査法人と事前協議する。


・・・ いかがでしょうか?




posted by 児玉厚 at 08:14 | Comment(0) | 個別財務諸表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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